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2025/11/12 18:22

ひとつとして同じものがない、革製品の魅力

革製品に惹かれる理由は、どこにあるのでしょうか。手にしたときのしっとりとした質感、使い込むほどに深まる艶、そして何より、製品ごとに異なる「表情」に心を奪われる方も多いのではないでしょうか。

本革は、天然素材です。動物の皮膚をなめして仕上げるため、シワの入り方や毛穴の跡、色の濃淡など、ひとつとして同じものはありません。そうした個性が、革製品に豊かな表情を与えてくれます。




表情の違いは「個性」です

同じ型の財布やキーケースでも、革の表情によって微妙に印象が変わります。これは、革の部位や個体差によるものです。背中の革は厚くてしっかりしていますし、腹部の革は柔らかく、シワが入りやすい傾向があります。※RUFUでは、傷や目立つシワが入っている部分は省いて製作しております。

こうした違いは、工業製品のような均一性とは異なりますが、それこそが本革の魅力です。「この表情に惹かれて選んだ」という体験は、使い手にとって特別な意味を持ちます。


時間とともに育つ「第二の表情」

革の表情は、使い始めてからも変化していきます。新品のときはマットだった表面が、使い込むほどに艶を帯び、色味が深まっていく──「エイジング」と呼ばれる現象です。

上の写真は、手前から[ 新品 ][ 3ヶ月使用 ][ 1年使用 ]した名刺入れです。
少しずつ色が濃くなり、ツヤが出てきているのが見てとれます。

エイジングによる表情の変化は、使う人のライフスタイルや手入れの仕方によっても異なります。これはよく「革を育てる」と表現されますが、つまり、ある意味で革製品は「使う人の手によって完成するもの」なのです。


表情を活かすデザイン

本革の表情を引き立てるには、デザインとの調和が欠かせません。シンプルなフォルムは革の質感を際立たせ、余白のある構成は、ひとつひとつ異なる表情を自然に引き立ててくれます。過度な装飾を避けることで、革そのものが語りかけてくるような佇まいが生まれます。

RUFUでは、革の表情を「選ぶ」のではなく、「受け入れる」ことを大切にしています。どの革にも、それぞれの個性があり、そこに偶然の美しさが宿ります。製品づくりは、まさに一期一会。出会った革の、その表情にふさわしい製品へと変貌させる、静かな対話のようなものだと考えています。


本革の表情は、ブランドの哲学を映します

革の表情は、単なる素材の違いではありません。それは、ブランドがどんな価値を大切にしているかを映す「鏡」のような存在でもあります。自然のままを尊重すること、手仕事の温もりを伝えること、そして、均一ではない美しさに目を向けること──そうした哲学が、革の表情に滲み出てくるものだと感じています。

そして使い手は、その表情にふと心を動かされ、革の変化を楽しみ、自分だけの風合いに育てていきます。

革の表情に目を留めることは、ものとの出会いを丁寧に味わうこと。そこには、量産品では得られない愛着や喜びと、深い納得があるように思います。



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